Y版山姥日記

旧山姥日記

7月14日の富士山・蜩の声

7月14日午後6時3分頃
イメージ 1
 
イメージ 2
 
 
 
 
 
一日中降ったり止んだりで
さぞかし 狐の嫁入り行列は多かったろうと
狐の身になって考えながら富士山を仰ぎ見ると
やはり富士山は厚い雲の中に身を隠し
世間話には乗ってこなかった。
 
 
巻き爪の治療に行った。
超合金ではなくて形状記憶合金の細い線を爪に通した。
1年以上悩んでいたが
早く行けばよかったと思った。
痛みに弱い者は
どうしても怖いので二の足を踏んでいたが
痛くはなかった。
 
 
夕方
蜩の声を聞く。
何日か前から啼いていたような気もするが
あの哀切極まりない鳴声に耳を傾けた。
 
蜩は夏の始めから終わりまで鳴き続ける。
真夏の夜明け前、森の中で大群で啼く声で目覚めるほどだが
夕暮れ時の蜩の声は時空を飛び越え
懐かしいあの頃へと意識を連れ去ってくれる。
 
 
路地裏の家並みは長屋が多く窓は開け放たれ
家々の夕餉の香りや野球中継のアナウンサーの声
兄妹げんかや母親に叱られる子の泣き声も
全部近所中に流れて行った。
それでも
八幡さまの森やご近所の庭木から
蜩の声は聞こえ
胸がキュンとなったのをよく覚えている。
あれは夏の始めだったか終わりだったか・・・
 
母親達は皆一様に白い前掛けを掛け
子どもを叱る声は恐ろしかったが
いつでも目の端に子どもを捉えていて悪さは出来なかった。
どうにかして、親の目を盗むことを覚え
やがて思春期から大人へと変身していったのだった。
 
懐かしいあの頃を思い出す。
 
これもまた望郷。