Y版山姥日記

旧山姥日記

風もないのに カサカサ カサカサ

12月21日午前10時15分
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            カサカサと
            音のする方を振り向いたが、何者も居らず
            足元もよく見てみたのだが、何もない。

            風もない。
            日差しが眩しい。

            こんな日を小春日和というのだろう。

            かつて昔
            隣のバアチャンは
            こういう日には 縁側で綿入れを縫っていた。

            山姥村に初めて来た年の暮れ
            隣のバアチャンに三着の綿入れを貰った。
            太っ腹と私と座敷童女1号のだった。


            そんな事を思い出させてくれるような音が
            カサカサ だ。

            冬の音だ。

            どこかで枯れ葉が散ったのだろう。
            農閑期の山里は音がないから・・・



                            けれども、
                            大騒ぎな町長選のわめき散らす声に
                            脳髄が反応する。

                            私は静かでいたいのに
                            冬の音を聞いていたいのに

                            無粋な事だ。

                            何年もしないうちに この小さな町の
                            古くて美しい郡名は消えていく。
                            一郡一町なので
                            合併すれば大きな市に組み込まれる。
                            日本中で こんなに美しく誇らしげな郡名はないのに
                            と、思う。

                            コレもまた 無粋な事だ。