Y版山姥日記

旧山姥日記

惑星の泉

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                      丸山健二 著
                      文藝春秋 刊
                           昭和62年5月第一刷
















    恥ずかしい事に、この方の本を今まで読んだことがなかった。
    ネットで調べると、37年間「芥川賞最年少受賞者」としても有名だったらしい。

    題名からするとSFのようだが、違う。

    敗戦後の地方の村での日々を綴った物語で
    ところどころに
    「私は覚えている」
     という言葉から始まる回想があるのだけれど
    その部分が、サラサラと書かれているにもかかわらず胸を打つ

    読後、不思議な思いに駆られた。
    私は上手く「あらすじ」が書けない。

    物語は、父の出征中に母が町の有力者の愛人になるところから始まる
    その後父親が帰還し、主人公が父親に引き取られる。
    片足を失った父親は世を捨てたように、森の中の小屋に息子を連れてゆく。
    息子は、闇屋(?)のような男たちと知り合い、その男たちの商売を手伝うようになる。
    そのお陰で、父と息子の生活にも変化が・・・


                    やっぱり、これ以上書く能力が私にはないので、ごめんなさい。



    小説ってこういうものだったなぁと思ったことに、我ながら驚いた。
    言葉の使い方がとてもいい。
    文章がとても上手い。
    以上2点は小説家だから当たり前かもしれないけれど 
    こうやって驚かせてくれる小説には滅多にお目にかかれない。

    読んだ後、
    辛い内容なのに爽やかな気持ちになった。
    敗戦から真っ当に立ち直る人々を見たようだった。


    沢山の本を今年も読もう。
    こういう本との出会いがあることを願って・・・