Y版山姥日記

旧山姥日記

4月の読書記録


読んだ本の数:8
読んだページ数:2039


太陽の村太陽の村感想
やっぱりこう来たか。途中から、そうじゃないかとは疑ってたんだよねぇ。シュールだ、シュールだよね。そこがいいんだよね。強運というところだけが納得しがたいけど、いや、そうだよね、そうなんだ。物語の感想を書こうとすると、次に読む人は面白くなくなるので、書けない。そこもまた、朱川湊人クンだよねぇ・・・。面白かった!
読了日:04月29日 著者:朱川 湊人



ボトルネックボトルネック感想
2013年に「折れた竜骨」を読んでから、この作家のものを何冊か読んだ。最後がね、不思議だけれどこの作家だもの仕方がない。こういう終わり方もありかなと、思う。ワタシは主人公は生き続けると思う。そうであって欲しい。昔々、高校生だったころ、友人に誘われてその友人のお母さんの実家に泊まって金沢を旅したことがあった。その時、室生犀星の石碑を見た記憶がある。「故郷は遠きにありて思うもの」今はもうない私のふるさと。リョウの気持ちもわかるような気がする。追憶って切ないね。でも、生きる糧にはなると思ういよ。
読了日:04月23日 著者:米澤 穂信



錆びた太陽錆びた太陽感想
なかなかどうして・・・。恩田陸直木賞本屋大賞を取った例の奴はまだ図書館の順番が来ていない。あと30人以上。今月初め頃に読んだ恩田作品は救いようがなかったけれど、こちらはほとんどコメディだ。登場人物(と、呼んでいいか?)の名前からしてふざけている。最後もあっけらかんとしたものだ。ただ「風の谷のナウシカ」と同じような状況であるから本当は深刻だ。しかも、今の世界情勢の最悪のシナリオの未来はこういうものではないかとも思えてきて背筋がうそ寒い。読み終わってしばらくして、シュールさと恐怖が襲ってくる。不思議。
読了日:04月23日 著者:恩田 陸



おさるのかわ (どうわがいっぱい)おさるのかわ (どうわがいっぱい)感想
弟が生まれて一か月。幼い兄の健気さと落胆と希望と絶望の入り混じった姿を見ているだけでも切ない。彼を寝かしつけるのに読んだ本。半分も読まないうちに孫は眠ってしまった。で、この絵本。なんってこった。哲学書だ。深遠な命題を突きつけられたようだ。「おわりとはじまりはおなじ」命の循環。若い時は気づかなかった、自分も年寄りになることを。この単純な絵のひらがなだらけの幼児用の本に人生を教えられるとは・・・。ワタシもまだまだだなぁ。修行しよう誠心誠意。
読了日:04月10日 著者:いとう ひろし



[現代版]絵本 御伽草子 木幡狐 (現代版 絵本御伽草子)[現代版]絵本 御伽草子 木幡狐 (現代版 絵本御伽草子)感想
そうねぇ・・・。原作のほうが面白いと、思った。孫が表紙を見て自分の絵本だと言い張ったのがおかしかった。
読了日:04月10日 著者:藤野 可織,水沢 そら



はじめての文学 小川洋子はじめての文学 小川洋子感想
5歳の孫の本を借りに図書館の2階の児童書の部屋へ行く。5歳の孫はもっと小さい時からの常連なので、適当に本を探す。バァバの大嫌いなカマキリが表紙を飾る大型絵本を読みたいとひと悶着。仕方がないので借りることにする。彼は彼でその辺をうろつき、バァバはバァバでうろつく。で、この本に出合う。中学生に読ませるのか、小学高の高学年に読ませるのかと首をひねるが、早熟な子はもうこんな内容は承知だろう。上質な小説というものは性描写があっても上等なのだ。どの物語も読んだことはあるけれど、こうやって並べられると不思議な感覚だ。
読了日:04月09日 著者:小川 洋子



([ほ]4-2)活版印刷三日月堂: 海からの手紙 (ポプラ文庫)([ほ]4-2)活版印刷三日月堂: 海からの手紙 (ポプラ文庫)感想
恩田陸羽田圭介(こちらは途中棄権)の殺伐とした本の後のほしおさなえ。心が洗われる気がする。前作の読後にも思ったけえれど、活版印刷所のガチャンガチャンいう大きな音が聞こえてくるようだ。生きる希望とかの青臭い年頃は当の昔に欺瞞だなと思うようになった今日この頃、こんな本を読み終わると心の奥からふつふつと泡のような優しい色の何かが湧き上がってくるように思える。う~~ん・・・。まだ甘ちゃんだわね、ワタシと、反省しようか。それとも甘ちゃんのまま居ようか。ちょっと悩むことにする。
読了日:04月03日 著者:ほしお さなえ



終りなき夜に生れつく終りなき夜に生れつく感想
この本を手に取った時、シリーズ3冊目というので慌てて前2冊を読んで、ついにこの本に入ったけど、どうでもよかったんだ。すごく殺伐とした気分になる。なぜだろうと思うが、きっと羽田クンのゾンビの話を途中でやめてこの本に移ったからだろう。羽田クンの本はもう読まない。ハートフルな本を読みたい気分にさせるほど殺伐とした。恩田陸の力だろうと思う。これはスゴイことだと思う。ヤレヤレ・・・。
読了日:04月02日 著者:恩田 陸





先月の読書で特筆すべきものは
いとうひろし著の「おさるのかわ」だ。

なんという作品なんだろうと思った。
児童書というよりは、もっと小さな子に読み聞かせるような本だけど
実に実に深い内容で、驚く。

しかも、孫の蒼ちゃんがちゃんと聞いているということは
この5歳になったばかりの仔にも理解できるという事実。



侮ってはいけないのだ。




と、思った。