8月30日31日の富士山・夏休みの終わり
8月30日
午後5時24分頃
午後6時6分頃
8月31日
午前9時25分頃
午後6時6分頃
50年も前のこと
東京の端っこの商店街の裏通りの
ワタシの育った家
8月の終わりが近付くと
ワタシは畳に寝っ転がって
天井を見ていた。
長押には
父の趣味の釣りに使うというクジラの歯(と、教えられた)が
無造作に突っ込まれていて
開け放たれた窓のすぐ向こうには板塀
お向かいは職人の家で
隣も裏のウチも職人さんだった。
あの頃の8月の終わりは
秋風が吹き始め
それでも
アスファルト舗装された表通りは暑かったけど
どろんこ道の我が家の前は
夏はいつでも遣水を
どこかのウチが撒いて
我が家の階下の座敷は涼しかった。
あの寝っ転がっていた至福の時が
とても懐かしい。
あの時の畳の香りの幻が
鼻腔の奥を吹き抜けてゆく。
これを郷愁というのだろう。
我が家の桜の木は葛に覆い尽くされ花盛り
あやこさんに貰った花オクラも美しい
秋がやってきた。
8月に
8月の31日に
もう二度と帰ってこない
50年前の夏休みに
サヨナラ