Y版山姥日記

旧山姥日記

10月の読書記録

10月の読書記録

読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3207ページ
 

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ELx3%2Be80L._SX100_.jpg羊と鋼の森感想
とても静かな物語で、ワタシは行ったことがないのでそんなものかと思うだけなんだけど、北海道の冬の大気は喉までも凍りつくのかと思ってしまう。それでも、森の音樹の音枝の音葉っぱの音の事は分る。森の際に棲んでいるのだから。ひとりの芸術家の最初の一歩に立ち会えることは僥倖とも言うべきものだと、ワタシは思う。そうしてその芸術家を下支えしようとする人がいることもまた、その芸術家にとっては僥倖だ。若い人たちが老練な人に認めさせることもスゴイコトなんだね。良い作家に出会えたと思う。これもまた僥倖だ。
読了日:10月29日 著者:宮下奈都



http://ecx.images-amazon.com/images/I/61Frk-8nzbL._SX100_.jpgキネマの神様感想
あらすじを考えたとき、そう思える。だって、だめなオヤジといき遅れた娘と善良な人々で、大団円だもん。けれど、マハさんは愛の人だから安っぽさだけでは決してない。だめなオヤジといき遅れた娘と善良な人々はそれなりの曲者だ。曲者だけど、半分くらい読んだところで(最初から分っていたかも)この本の行き着く所は明るいものであると・・・。渋谷の裏辺りに(銀座アスターの辺り。でもいま、銀座アスターは渋谷にあるか?)に名画座があったように記憶している。ワタシが高校生のとき一人で見たのはなんだったかなぁ。
読了日:10月24日 著者:原田マハ



http://ecx.images-amazon.com/images/I/5187%2BqoiPQL._SX100_.jpgうずら大名感想
やっぱり畠中恵だ!シリーズ化になるんだろうか。忙しくなるなぁワタシも。こんなご時勢だもの「御吉兆」と叫んでくれる鶉、欲しいなぁ。白いフワフワのちっちゃい犬はいるんだけど、今、外犬の柴犬小次郎にガラス戸隔てて強がって吠えてるだけだもんなぁ。
読了日:10月20日 著者:畠中恵




http://ecx.images-amazon.com/images/I/518jAUDMXJL._SX100_.jpg人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)感想
いつだったかしら、読んだような気がするような本。題材も文章もどこかで読んだ気がするのだけれど、引き込まれる。第四話はもう少し書き込んで欲しかったなぁ。最後の最後で主人公が変わるって・・・。読み手は困ってしまう。で、またこの作家の本を図書館で予約するんだろうな。
読了日:10月19日 著者:三木笙子



http://ecx.images-amazon.com/images/I/51SGceLFZoL._SX100_.jpg金木犀二十四区感想
設定としては現代なんだろうし、革命とは明治維新の事なんだろう。細かいところはいい。少女マンガのようだ。だけど、面白い。「少女フレンド」の第一世代である還暦すぎのおばさんにも楽しく読める。荒唐無稽のようであって、かなり現実的でもあり、最後の最後で「うっそぉ」というオチまであって楽しめた。この作家のものを読み続けそうでこわい・・・。
読了日:10月15日 著者:三木笙子



http://ecx.images-amazon.com/images/I/41DDDANV7ZL._SX100_.jpg月の砂漠をさばさばと (新潮文庫)感想
優しい。表題作に大笑い。母と娘のあたたかな一日が想像できる。お母さんのお父さんが作った歌がさきちゃんに受け継がれ、そうして代々繋がっていったら嬉しいな。ワタシの場合は「オレハウ◎コマン」だけど、受け継がれないで欲しいと思ったり思わなかったり・・・。が、こういうお話は案外苦手なんだよ、ぶらちゃん。ゴメン。
読了日:10月13日 著者:北村薫



http://ecx.images-amazon.com/images/I/51fXz1ZmiXL._SX100_.jpg宵山万華鏡感想
再読か再々読。読書メーターのお陰でこういうことはなくなっていたけど、まぁ随分昔に読んだ本だし・・・。祭りの夜は楽しいけれど哀しい。小さい頃、八幡様のお祭りに行って母とはぐれた。周りには知っている人が多いのに、母の後姿を捜してべそをかいたのを思い出す。55年位前の事。ただ森見さんに掛かると壮大な「お祭り騒ぎ」なる。読んでいて唐十郎を思い出した。それほど毒々しくはないけど。こういう世界って、ニッポン人には郷愁を感じさせるんだよね。
読了日:10月11日 著者:森見登美彦



http://ecx.images-amazon.com/images/I/5126TMBTTCL._SX100_.jpg向日葵の咲かない夏感想
小川洋子の「琥珀のまたたき」の直ぐ後にこれを読んだのは失敗だったかな。不条理だ。その不条理を楽しめることが出来れば、それはそれでよい読後感かもしれないけど、ワタシは其処まで達してないと思われる。引き込まれ一気読みだったんだけどな。って事は、面白いってことね。
読了日:10月8日 著者:道尾秀介



http://ecx.images-amazon.com/images/I/51sIPvXKqLL._SX100_.jpg琥珀のまたたき感想
「あの子」は本妻の元に引き取られたのだろうか。オパールの言葉に慄然とする。オパールは全てを理解し、去っていったのか。理不尽さを心の奥底に仕舞いこんだのは琥珀だけだったと、思える。哀しい母親に涙した。去っていったオパールの幸せを願う。引き取られた瑪瑙の幸せも願う。その世界に生き続けた琥珀の幸せも願う。読後のざわざわとした心の波立ちは、幸福と不幸の境目が琥珀の左目の色のように透き通っているようと願っているざわめきなのかもしれない。今は小川洋子の小説の不穏な感情の虜になっていることだけは確かだ。
読了日:10月8日 著者:小川洋子



http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Ai6S0mtzL._SX100_.jpg花と流れ星感想
長編が読みたいと思う。「背の眼」は白内障の手術の為に2泊3日の入院中に再読した。後に「骸の爪」も再読した。短編集では物足りない。短編の上手い作家、長編の上手い作家といろいろなタイプの作家がいるだろうし、道尾秀介氏ももしかしたら短編もお上手かもしれないけど、真備シリーズは長編がいい、とワタシは思う。
読了日:10月4日 著者:道尾秀介



http://ecx.images-amazon.com/images/I/41qSzKoWo1L._SX100_.jpg木暮荘物語感想
育ったのは淡島。世田谷代田駅から下北沢で乗り換え池の上で降り坂を下ると淡島だ。クラフトエヴィング商會の吉田篤弘氏もこの近くの小説を書いておられた。ワタシが一番年取ってるけど。で、【ピース】と【嘘の味】が好きかな。今でもおんぼろアパートはあるんだろうか。ワタシが小さいころは沢山あった。でも、世田谷代田って不思議な立地なんだよね。けれど、ワタシが知っている小田急線と現在の小田急線では、全く違う生き物のようで寂しい。
読了日:10月2日 著者:三浦しをん





宮下奈都と言う作家を存じ上げなかった。
損した気分。

10月はいろいろなことがあって
悲しい別れもあったし
忍者も見たし

読書も満足した。


が・・・



良い作家に出会えることは滅多にない。
けれども
今月は大収穫だった。



追っかける作家が増えて
また忙しくなるなぁ。