青い稲の上に富士山からの風が吹く
風が吹き 田圃の上を吹きすぎていった
午後8時36分
素人目には
田圃の稲はすくすくと育っているように見える
風が吹き 稲が揺れる
「青田波」とはこういう事だと納得した
真夏の
八月のお盆間近の
昼下がりの田舎の道は
誰も居らず獣も来ず
熱されたアスファルトの道があるだけで
静まりかえっている
そろそろ帰省してきた都会の子が
爺婆に連れられて 畑にスイカを見に来る頃か
田舎の爺婆は丹精込めて
孫に西瓜を食べさせようと努力を重ねていたのだから
都会から来る孫は心せねば為るまい
けれども
都会に住んでいる子は
お百姓のなんたるかを知る由もない
君の爺ちゃん婆ちゃんは
春先からいろんなものを作って
君が来るのを待っていたんだよと
ワタシが説教する訳にもいかないが
田舎の現状は老夫婦が田畑を守り
我が身の行く末を案じながら暮らしている
この田畑や山は この後誰が守っていくのだろうと
他所さまの事ながら心配になってくる
雲が切れて
太陽が燦々と降り注ぎ
富士山からの風に稲が揺れるのを見ながら
そんな事を思った