いつも其処にいる富士山だけど
長らくのご無沙汰で
アタクシを覚えておいででしょうかとちょっぴり不安・・・
アタクシを覚えておいででしょうかとちょっぴり不安・・・
午後5時50分
いつもの窓辺の机の前に
座ることさえ苦痛だったこの何日かの間に
白山吹も卯の花も木香茨の白と黄色も
苧環の白と紫も咲いてしまって
奇跡の牡丹は今まさに咲こうとしていて
さわやかに葉桜は風と戯れ
裏年の今年の竹藪は竹の秋を迎えている
さもしい話を聞いた
ひとけのない竹林に入りタケノコを大量に盗み掘り
そのタケノコを売るという
ナンという嫌なご時世になったものだと義憤に駆られる
そんなこんなの今日この頃
いつもの年なら陽気に誘われ
草ッ原を匍匐前進し ショボい花々との逢瀬を楽しんでいるのにと
頑健であることを当たり前のように暮らしていた日々を懐かしく思う
曇天や雨天が続いていたけれど
富士山は眼前にいつもいるのに 目が合うことさえ避けていた気がする
ニンゲンなんて勝手なものだ
痛みが少し治まると富士山に挨拶しようと思い立つ
そんな人間だということを彼女は先刻承知の様子だが・・・