Y版山姥日記

旧山姥日記

あきはゆふぐれ

9月23日


午前9時18分
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午後5時38分
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       夕方
       ふいに口をついて出た
       「秋はゆふぐれ・・・」

       その続きは
       「ゆふひのきはやかにさして山のはいとちかくなりたるに
       からすのねにゆくとて 三つ四つ二つ三つなど とびゆくさへあはれなり
       ましてかりなどのつらねたるが いとちひさくみゆる をかし
       日のいりはてて かぜのおと むしのねなど はたいふべきにあらずめでたし」




              夕空は美しいと思う

              昼間の喧騒と夜の静寂との境にあって
              明日という日に希望を持たせてくれる柔らかな色

              世の中は忙しく道化の様な顔から実しやかな言葉が放出されるのを
              苦々しくも愚かしくもテレビという箱を通して見ているのも飽いた

              毎朝配達される朝刊と前日の夕刊も見もしなくなった
              言葉が排出された途端 それが嘘に思える世の中に飽いた

              夕暮れ時は
              子供の頃に突然戻ったような驚きを与え
              もうこの世にはいない父の母の声が聞こえるような気さえして
              そんな錯覚から覚め
              あれからもう何十年も経っていることを悲しく思う

              だから
              夕焼けは美しく切ないのだと思う






                        枕草子の一節は「Wikiquote」の清少納言から引用させていただきました。