Y版山姥日記

旧山姥日記

ジュズダマで遊んだあの日の空

9月2日午後2時20分
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              いつごろだったか よく覚えていない

              東京の片隅の商店街の裏の路地に
              ワタシの育った家があり
              その一角だけ 長屋が何軒もあって
              ワタシの家の裏の家には井戸があった

              その井戸は手押しポンプで
              何で水道にしないのか不思議に思っていた

              ワタシの家の向かいの家は 平屋の二軒長屋で
              二軒まとめて板塀がまわしてあった

              その板塀の下からジュズダマオシロイバナがのぞいていた

              ワタシの家にも板塀がまわしてあり
              小さな小さな池が掘られ鯉が泳ぎ
              その横に萩が植えられていた

              萩の花よりジュズダマオシロイバナの方が魅力的に見え
              向かいの家のオシロイバナで化粧して ジュズダマで首飾りを作っていたが
              咎められたことは一度もなかった

              二百十日が過ぎた頃
              空を見上げたことをよく覚えている

              その路地には誰もいなくて
              車の音も聞こえず
              しんと静まり返っていた

              学校が始まったばかりだったのに
              周りに近所の仲間がいなかったのは何故だろう

              その空の青かったことはよく覚えている