Y版山姥日記

旧山姥日記

4月21日午前6時43分
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4月22日午前9時9分
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4月23日午後1時35分
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4月24日午後5時17分
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               21日朝6時前 突然の電話に叩き起こされる。
               ご近所のお年寄りが亡くなられたのだった。
               それから24日の夕方まで山姥村は怒涛の日々となった。

               4・5日前から山姥村は奇奇怪怪な音に悩まされていた。      
               それは深夜に起こる。
               例えて言うならば ランタン或いは看板が風に揺れるような
               または
               ますむらひろしの「銀河鉄道」(原作は宮沢賢治)のジョバンニが牛乳を取りに行く時の
               街灯が風に揺れ 音をたてている場面を思い出すような
               そんな音が どこからともなく聞こえていた。
               その音は規則正しく 緩急があり、耳障りで仕方がない。
                                    (今も聞こえているのだけれど)
               金属的な高い音なのだが 柔らかくもある。
               気味の悪い音。物悲しくもある音。
               イノシシを追っ払うために誰かが仕掛けた音なのか
               何かが壊れている音なのか 分からないでいた。

               通夜葬儀には隣保班全員参加で
               この前のお葬式までは自宅でしていたから目の回る忙しさだった。
               今回は葬儀場だったので男衆も女衆もかなり暇を持て余し
               火葬場にお見送りした後は 四方山話が始まった。
               そこで、この音のことが話題に上り ついに解明された。
               どこの家でも 深夜から朝方まで続くこの音に悩まされていたのだ。

               ある家では山姥家の方向から聞こえると言い
               またある家では 全然別の方向からだと言う。
               みなの話を総合するとどこからともなく聞こえ しかも移動しているということになる。
               隣のK代ちゃんが事もなげに「シカの鳴き声」と言い放った。

               一瞬の静寂の後、うそぉっ!!! の大合唱。
               あの大きな鹿が あんなか細い声なのか。
               深夜から朝方まで鳴き続けるのか。
              
               一人が言った。
               そうそう 鹿がガードレールを飛び越えて山の方に行ったのを見たよ。
               奇奇怪怪なんてものじゃないじゃないの・・・

               亡くなられたおばあさんは 生前静かに微笑んでいた人なので
               組合のこの大騒ぎにも ニコニコと微笑んでいたのかもしれない。