花の香り
太っ腹は仕事が終わると階段を駆け上ってくる。
その足音がぴたりと止まり 階下の部屋のドアがガチャンと開く。
「すみませ~~ん」と太っ腹の声と
階下の奥さんの笑い声がこだましていた。
その足音がぴたりと止まり 階下の部屋のドアがガチャンと開く。
「すみませ~~ん」と太っ腹の声と
階下の奥さんの笑い声がこだましていた。
毎日それなのだから 近所でも有名になり
やがて普段通りの事になって 笑い話にならなくなった
やがて普段通りの事になって 笑い話にならなくなった
記憶の中では
掃き出しの窓のそばにこの花を置き
風が吹くと
2DKの部屋中に香りが漂い
親兄弟親類縁者のない土地で暮らす事への不安も薄れた。
掃き出しの窓のそばにこの花を置き
風が吹くと
2DKの部屋中に香りが漂い
親兄弟親類縁者のない土地で暮らす事への不安も薄れた。
その後
山姥村に引っ越してきてから
花を買う余裕とてなく 子育てに埋没する日々が過ぎていた。
ある日
スーパーに漂う香りに引きつけられ
園芸コーナーでこの花を買っていた。
山姥村に引っ越してきてから
花を買う余裕とてなく 子育てに埋没する日々が過ぎていた。
ある日
スーパーに漂う香りに引きつけられ
園芸コーナーでこの花を買っていた。
まだ、若く未来への希望だけで暮らしていた頃を思い出すとともに
馥郁とした香りが 子育てに疲れていたワタシの心を和ませてくれた。
馥郁とした香りが 子育てに疲れていたワタシの心を和ませてくれた。
以来
毎年買う。
毎年買う。
今年も春だねとこの花を買って来ると家族に言われる。
春ねぇ・・・と答えることにしている。
春ねぇ・・・と答えることにしている。