Y版山姥日記

旧山姥日記

小次郎物語

つい先日
麗らかな春が来たわと勘違いして 座敷童女2号が申しました。
「お母さま 小次郎を洗濯致しましょう♪」

「オレ?」と 小次郎が聞き返す間も与えずに

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                      べつに オレは困ってないんスけど
                      人語はしゃべれないけど
                      意志を表すことには長けている小次郎であります。


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                      バシャバシャと洗って貰って ブルブルもしました。
                      どことなく拗ねているようにも見えますが


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                      ねぇちゃん 久しぶりやなぁ
                      スリスリしてくる小次郎の身体から
                      シャボンの香りが立ちのぼってまいります。


小次郎の先代の柴犬のワンは人間嫌いな犬でした。
チャンピオン犬の家系に生まれたのですが
体高がわずか3㎝足りないだけで処分されそうだったのです。
8ヶ月の時山姥家に参りました。
彼の生涯で ただ一度人間に媚びを売った瞬間でした。
その後、人間を許すことなく孤高の人生を送りました。

そのワンが逝ってしまった半年後
小次郎は山姥家の子になりました。
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           小次郎が来たとき ワタシはお座敷柴犬にしようと思いました。
           ワンの死は ワタシの心の中に悔いを残していましたし
           ワタシが犬嫌いでも ワンとの散歩は楽しかったのですから
           家の中で小次郎とジャレ合おうと決心していたのです。

           そんなワタシの気持ちを小次郎は分かってくれず
           お外犬に自分からなりました。
           「お外に連れて行け」とワタシを鼻で小突きましたので
           試しに一晩と思って外につないだら小躍りして喜んでおりました。

           山を下って また登ってくるワンとの散歩を再現しようとしたら
           小次郎は絶対に車道には出ません。頑として座り込みストライキです。
           仕方がないので 隣のバアチャンの畑一巡りの散歩と相成りました。

           最近は あんなに好きだったボール遊びもしなくなり
           大人になっちゃったのね・・・と家族を落胆させておりますが

           小次郎の笑顔は山姥家の宝です。

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