疑似体験
久しぶりの快晴
こんなに日が長くなっていたことに驚く
大きな月も流れる雲の陰から出てきている
こんなに日が長くなっていたことに驚く
大きな月も流れる雲の陰から出てきている
毎年 思い出す
3月10日の大空襲の話を母がしていた
微に入り細に入り 克明に話してくれた両国界隈の惨状
それが毎年のことなので 夢に出てくるばかりでなく
自分が体験したことのように臭いまで想像できるようになった
3月10日の大空襲の話を母がしていた
微に入り細に入り 克明に話してくれた両国界隈の惨状
それが毎年のことなので 夢に出てくるばかりでなく
自分が体験したことのように臭いまで想像できるようになった
母が亡くなって10年
同じように思い出すから不思議だ
同じように思い出すから不思議だ
おひな様の前で
母の妹たちが集まって その話が出た年もあった
母の妹たちが集まって その話が出た年もあった
どんな年も最後は決まってこうだった
家は焼けちゃってさ
金庫だけが焼け跡に立ってるのよ
その金庫の中には
アタシたちの千代紙と半襟が入ってたのよねぇ
それを見てお父さん(ワタシの祖父)へたり込んでたわねぇ
自分でアタシたちに好きな物入れておけって言ったのにさ
大事なものは郵便局に預けたのに郵便局は焼けちゃったのよねぇ
金庫だけが焼け跡に立ってるのよ
その金庫の中には
アタシたちの千代紙と半襟が入ってたのよねぇ
それを見てお父さん(ワタシの祖父)へたり込んでたわねぇ
自分でアタシたちに好きな物入れておけって言ったのにさ
大事なものは郵便局に預けたのに郵便局は焼けちゃったのよねぇ
母や母の妹 そして健在の末の妹の叔母も
あどけない娘の顔をして 笑みを交わしていた
不思議な姉妹だと今でも思う
あどけない娘の顔をして 笑みを交わしていた
不思議な姉妹だと今でも思う